
◆観兵式
国家元首などへのお披露目や内外への示威目的で行われ、兵士・兵器のパレードや戦闘機の演示飛行を伴う国家や軍隊の儀式。「軍事パレード」とも呼ばれる。19世紀後半までの軍隊では行進と戦闘が分かちがたく結びついていたが、今日の観兵式はそのほとんどが国家や軍の記念行事として行われる。海軍では、観艦式が相当する。大日本帝国陸軍の観兵式は、天長節祝日、また、陸軍始(仕事始めの後の1月8日)、その他とくに規定または命令があるときに行われていた。閲兵式と分列式に分かれ、軍部隊が整列し、閲兵を受け、のち分列行進してその威容を示す。天皇・皇族および元帥・陸軍大臣・参謀総長・教育総監・軍司令官・陸軍大将・特命検閲使となった将官、衛戍司令で将官である上官および軍隊の長である将官に対して行われ、東京衛戍地では、大元帥(=天皇)の行幸を仰いで挙行され、大元帥は軍隊の敬礼を受ける。地方では、所在地の最高団隊長に対して行われる。観兵式は、天長節と陸軍始に行われるが、”特別大演習”(軍事演習)の終了ののちは出動部隊が大元帥に対してこれを行い、もし大元帥の統監が無い場合はその統監である将官に対してこれを行うのが例である。
◆演習
軍事においては作戦計画・行動計画などが現実に機能するのかどうかを実際に確かめるために試験的に計画に沿って実行する軍事演習のこと(英: Exercise または Practice)。戦技・職能を付与する訓練とは厳密には異なる。演習には実働演習、机上作戦演習(シミュレーション)等などがある。陸軍の特別大演習は明治25年、近衛、第一、第二の3個師団の参加の下に宇都宮で行われたものが最初で、海軍大演習は明治22年、東京湾で行われたものが最初である。
◆陸軍諸兵連合演習
各団隊において努めて機会を設けて行い、その数、編合兵力、場所その他は適宜定める。師団秋季演習 – 師団長において毎年秋季に隷下軍隊を適宜編合区分し、対抗または仮設敵に対する演習を行わせ、かつ仮設敵に対する師団の演習を行う。普通旅団長統監の下に歩兵聯隊を基幹とする支隊の対抗演習と師団長統監の下に混成旅団の対抗演習および仮設敵に対する師団演習とで、期日は往復途中および休日を除き8日間とする。師団対抗演習 – 師団を対抗させるもので、他の部隊を適宜編合することがあり、毎年1回行い、日数は3日で、勅命の将官が統監する。特別大演習 – 2個以上の師団を対抗させ、通常他の部隊を適宜編合させる。毎年1回行い、日数は4日で、ただし一部日数を仮設敵演習とすることがある。天皇が親しく統監し、ときに勅命により、皇太子に代行させる。軍司令官は勅命により大中将に任じる。各兵種特別演習 – 騎兵、砲兵、工兵、航空兵、輜重兵ごとに数個の当該兵科団隊で行い、主としてその兵科専門に関する演練をさせる。統監は当該兵科の兵監(航空本部長)が任じ、教育総監の指示で他の将官に任じることがある。日数は兵監(航空本部長)において定める。特別陣地攻防演習 – 諸兵種および特種の部隊を編合して堅固な陣地の攻防を行い、陣地戦に関する軍隊の連成および研究を行う。教育総監または教育総監の指示する将官が統監する。数年に1回行い、日数、編合部隊、場所その他は教育総監において定める。衛生隊演習 – 各師団ごとに衛生隊幹部以下に、実地につきその勤務を演練させ、隔年1回行い、日数は10日以内とする。ほかに、陸海軍連合演習、幹部演習(旅団または師団内の将校教育のために行う)などがある。
◆海軍基本演習
艦団隊などの教育基本部においてそれぞれ別にあるいは他と連合して行う演習で、毎年1回ないし数回行う。小演習 – 鎮守府、要港部、艦隊などにおいてそれぞれ別にあるいは他と連合して行う演習で、その部隊長の指導の下に毎年1回行う。大演習 – 特定の鎮守府および艦隊の聯合によって行う演習で、天皇の統監の下に4年に1回行う。射撃演習 – 艦砲、野砲、小銃などの実弾射撃を行う演習で、各砲員、あるいは各艦で行うものを教練射撃、編隊によって行うものを戦闘射撃と称する。兵棋演習 – 棋盤の上で艦型の駒を戦わせるもので、海軍大学校などにおいて戦術研究のために行う。図上演習 – 図上で作戦を実行するもので、各司令部、大学校などにおいて戦略研究のために行う。