【古写真関連資料】小西写真専門学校と、渡辺義雄(写真家初の文化功労者)

【古写真関連資料】渡辺義雄(初代・東京都写真美術館長)

1925年、小西写真専門学校(杉浦六三郎杉浦甚太郎)に入学。
卒業後、オリエンタル写真工業(菊池東陽)にエンジニアとして勤務。

◆渡辺義雄(初代東京都写真美術館長)

写真家。戦前はライカなどの小型写真機を駆使したスナップ写真で著名となった。フリーランスとなってからは、対外宣伝グラフ誌『NIPPON』に参加。また国際文化振興財団や木村伊兵衛らの中央工房に関係した国際報道写真協会で活躍。報道写真家の草分けとなる。戦後には大型カメラを使用する建築写真界の第一人者、そして優れた写真教育者となった。写真家としては日本で最初の文化功労者。三条市名誉市民。

新潟県南蒲原郡三条町(現在の三条市)に呉服商の家に生まれる。1925年小西写真専門学校(杉浦六三郎杉浦甚太郎)に入学。在学中より『写真月報』に作品を発表。1928年東京写真専門学校(現東京工芸大学)卒業。6年間「オリエンタル写真工業(菊池東陽)」(現在のサイバーグラフィックス)にエンジニアとして勤務。1930年木村専一の「新興写真研究会」に参加。ドイツの新しい写真表現である新即物主義に強い影響を受ける。1931年オリエンタル写真工業宣伝部所属となり『フォトタイムス』で撮影、編集に携わる。同誌にライカ等の小型カメラを駆使し、東京の都市生活におけるモダンな風俗や生活をスナップし組写真とした『CAMERA WORK』を発表。新興写真を代表する写真家の一人となる。またオリエンタル写真工業時代には濱谷浩が渡辺の助手を務めたことがあった。また戦前から建築写真を発表。美術評論家の板垣鷹穂と建築家の堀口捨己の示唆により、当時モダンな建築として話題となっていた御茶ノ水駅を撮影。東京大空襲で戦前のすべてのネガやプリントを喪失した。

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戦後1950年「日本写真家協会」の設立の発起人且つ主宰者となり、1958年から23年間会長を務めた。1958年、金丸重嶺に請われて教鞭を執っていた日本大学芸術学部写真学科の教授に就任。1956年、エドワード・スタイケンによる『The Family of Man』日本巡回展では実行委員長を務めた。また東京都写真美術館では1990年の第一次開館時から館長に就任。「日本写真芸術学会会長」「日本写真協会理事長」「ニコンサロン名誉館長」「日本報道写真協会理事長」「日本著作権協議会代表理事」などを歴任。受賞・受章歴としては「日本写真家協会年度賞」「芸術選奨文部大臣賞」「通産大臣賞」「紺綬褒章」「紫綬褒章」「勲三等瑞宝章」などがあり、1990年文化功労者となる。日本の写真界では木村伊兵衛と並ぶ巨匠として世界各国に知られている。

写真会社に勤めていたこともあって、写真化学に詳しく、且つ光学器械の技術内容にも明るかった。写真家は撮影器機をもっと大切にしなければならない、そして「カメラをもって町に出よう、人の生活、動きを撮影しよう」と、日大芸術学部の学生や東京写真大学(現 東京工芸大学)の後輩達に訓示していた。とりわけ写材としての「建築物」に対しては、敬虔さを決して失うことなく、該建築物の創作者と創作物を尊敬すべきであると日々述べていた。そして、「一回のシャッターに魂を込めろ」とも訓示していた。非常に優しい写真家で後進の面倒をよくみていた。

◆東京都写真美術館

東京都目黒区三田一丁目にある、写真・映像専門の公立美術館である。指定管理者制度により、東京都歴史文化財団グループ(公益財団法人東京都歴史文化財団、鹿島建物総合管理株式会社、アサヒビール株式会社の共同事業体)が管理・運営している。日本における初の本格的な写真映像の文化施設として設けられた美術館。個人名を冠したものを除いた写真一般の美術館としては日本初である。

初代:渡辺義雄(1990年6月 – 1995年3月)
第2代:三木多聞(1995年4月 – 2000年3月)
第3代:徳間康快(2000年4月 – 2000年9月)
第4代:福原義春(2000年11月 – 2016年3月) 
第5代:伊東信一郎(2016年3月 – 2016年現在) 

展示施設としては、3階(写真共催展向けまたは貸出会場、495㎡)、2階(写真独自企画展向け会場、495㎡)・地下1階(写真以外の映像一般展向け映像展示室、532㎡)の3つがある。4階は図書室となっており、図書36,500冊、雑誌1,400種を所蔵する。1階ホール(283㎡)では新作映画の封切公開をしている。そのほか、ミュージアムショップ、カフェなども備える。一次開館以降、多彩な企画展を中心に積極的に内外の写真作品を紹介し、また近年はアニメやテレビゲームといった写真以外の映像文化にも力を入れている。

収蔵品として、荒木経惟、植田正治、木村伊兵衛、須田一政、東松照明、奈良原一高、濱谷浩、林忠彦、細江英公、森山大道、渡辺義雄など、日本を代表する作家の作品を多く収蔵している。

1986年(昭和61年)11月 – 第二次東京都長期計画で「写真文化施設の設置」を発表。
1990年(平成2年)6月 – 渋谷区恵比寿四丁目19-24 にあったライブハウスの建物を利用し、一時施設として開館。(区界を挟んでいるものの目黒区三田の現所在地から300mほどの位置)
1991年(平成3年)8月 – 恵比寿ガーデンプレイスおよびその一角を占める当館総合施設が着工。
1994年(平成6年)8月 – 総合施設が竣工。
1995年(平成7年)1月 – 「東京都写真美術館」として正式に総合施設が開館。
2014年(平成26年)9月 – 改修工事のため長期休館。
2016年(平成28年)9月 – リニューアルオープン。愛称を「トップミュージアム(TOP MUSEUM)」に制定。